2度と読みたくない作品
この小説は2度と読みたくない。
そう私が思ったのは、これが初めてだった…
Coution‼︎
- この記事はネタバレを含みます
- 記載されている事項は全て個人の感想です
今回の内容
さて、今回はタイトルの通り、佐藤徹夜「君は月夜に光り輝く」に関して綴っていこうと思う。
まず、これだけは解っておいて欲しいことがある。
私はこの作品が好きだ。
タイトルや、冒頭から酷評のように思われたかもしれない。
しかし、決してそのようなことはないためそこは了承しておいて欲しい。
私は、この記事を書くにあたり苦悩を繰り返した。
先に言った通り、私はこの作品がとても好きだ。だからこそ伝えたいことが多くある。
しかし、それらを伝える事は私の能力では難しい事であった。
下書きを繰り返す事、十数回目。
私は思い立った。「自分の感想を率直に述べよう」
「伝えたいこと」ではなく「感想」
これらの線引きがどのように成されているか分からない。
しかし、私の「思い」が伝わればそれでいいのではないだろうか。
長ったらしい前置きはこれぐらいにして本題に移っていこう…
アウトライン
主人公・岡田卓也には姉がいた。姉の名は鳴子。
彼女は事故で亡くなっており、そこから卓也の時は止まっていた。
止まっていた時を過ごす中で、高校生になった卓也は、クラスに「発行病」で学校に来られない少女・渡良瀬まみずがいることを知る。
発行病。原因不明の不治の病。月の光を浴びると体が淡く光ることから由来し、死期が近づくとその光は強くなる。
「恩人」香山の策略にはまり、病院にまみずの見舞いに行く事となった卓也。
そこでの出来事をきっかけに、まみずの「死にまでにやりたいこと」を手伝う約束をした卓也。
この約束から、卓也の止まっていた時は動き出す…
感想
前段落の通り、この作品はいわゆる難病モノである。
内容的には、以前紹介した「君の膵臓をたべたい」と似ている。
違う点を1つ挙げるとすれば、架空の病気があるということだろう。
発行病。この設定を上手く使い、作者は世界観をより美しくしている。
作品としての出来は、恐らくキミスイの方が上だろう。
キミスイは段取りもよく納得しながら読むことが出来た。
けれど、不思議と私は本作の方が感動出来た。
それは何故か。
口絵にはっきりとまみずの顔が映し出されていたため、引き込まれやすかったという点はあるだろう。
しかし、それだけではないと私は豪語したい。
小説には不思議な力がある。何故、本作の方が感動出来たかはわたしには分からない。
「好きなジャンルだから」「文章の所々に工夫があったから」そのような言葉で片付けられるようなものではない。
とにかく一度読んで欲しい。そして考えて欲しい。
何故これ程までに愛おしいのか。
何故これ程までに狂おしいのか。
何故これ程までに憎らしいのか。
補足
自分の「思い」を伝えられればいい。と書いたが、前段落で私の思いが伝えられたのだろうか。
それがどうにも不安なため、この段落を付け足そうと思う。
まず、何故私がこの記事を書くに至ったのか。
それは、あなたにこの小説を読んで欲しかったからだ。
あなたとこの思いを共有したい。それが私の「思い」だ。
私は難病モノが好きだ。しかし、それと同時に難病モノが嫌いだ。
私にとって難病モノほど感動出来るジャンルはない。しかし、私にとって難病モノほど読んで後悔するジャンルはない。
難病モノを読んだ日は、ひどく胸が辛い。
読み終えた直後は「よかった」と余韻に浸れることが出来る。
しかし、時間が経つと人の死に強く悲しみを覚える。
故に、本当はこの作品を勧めていいのかと躊躇している。
けれど、それ以上に読んで欲しい思いが強いのだろう。
この記事を書いたことがその証拠ということなのではないだろうか。
是非この作品を読んで欲しい。
宣伝には、あの作家が泣いた。などとあった。
だが、あいにく私は作家に対した興味はないし、「泣けた」という感想で興味が湧く人間でもない。
私の興味が向くのはただ1つ。作品の内容だけだ。
あとヒロインが可愛いか否か←ただ1つとは
本作で泣いたらしい作家の1人がこう言っていた。
「最後の5行がずるい」
同感だ。そこには、深い意味のないことに深い意味が込められていた。
当たり前の風景であるのに、「当たり前」では片付けられない風景が、そこにはあった。
その後には、物語全体に作者の仕掛けがあったのではと思い至った。
冒頭の不満足感。中盤の不快感。終盤の満足感。
全てにおいて佐野徹夜氏の巧妙な罠だったのではないだろうか。
詳しいことは初心者の私には分からない。
だから読みといて欲しい。
この作品に込められた真意を。
最後に
佐野徹夜氏は本作を「 生きるべきか死ぬべきか」と表現した。
私が一目この言葉を目にした時には、はっきり言って意味を理解できていなかった。
漠然と「これのことかな?」というイメージが湧くだけであった。
それは、私がまだこの作品を理解出来ていなかったということだろう。
すぐに読み返そうと試みた。
しかし、残酷にもそうさせようとはしてくれない。
読もうと思いページをめくった時、内容がフラッシュバックしてくる。
それらは私の心を強く締め付けてきた。
読み終えた後でも、人の心を締め付けてくる。だから私は
この小説は2度と読みたくない